「99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE」とパフォーマンスチューニングの共通点
事実は一つだが、真実は人の数だけある
2022年1月5日
著者: 竹洞 陽一郎
先日、家族で映画館に行き、「99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE」を観てきました。
ドラマの「99.9-刑事専門弁護士」のシーズン1、シーズン2も観てましたが、とても面白いし、深いです。
まだご覧になった事が無ければ、面白いので、是非Paraviなどで視聴してみてください。
弊社のお客様である、IDOM様のオフィスが、斑目法律事務所のオフィスとして撮影で使われています。
私も打ち合わせなどで、ちょくちょくお伺いしているので、オフィスのシーンは観ていて、「あそこ!あそこ!」とはしゃぎたくなります。
聖地巡礼って、そういう気持ちになるんでしょうか。
弁護士 深山大翔が追い続ける「事実」
主人公の弁護士 深山大翔は、ドラマでも、映画でも、ひたすらに「事実」にこだわり、「事実」の解明に泥臭く取り組みます。
その取り組みによって、他の弁護士や検事、裁判官が「真実」だと思っていた事が、実は「事実」ではない事が明らかになり、裁判で逆転劇が繰り広げられます。
ドラマで見せつけられるのは、裁判で吟味される各種の証拠や証言などは、一度誰かによって解釈された「真実」とされているものであり、「事実」ではないという事です。
主人公の深山は、捜査資料や、検察側の証拠を鵜呑みにせず、全部確認し、少しでもおかしいと感じると現地に行ったり、再現したりします。
だから、お金が凄く掛かる。
それで、ずっと貧乏な町弁だったのですが、父の親友であった斑目春彦が経営する日本の4大法律事務所である斑目法律事務所に誘われて入ります。
大きな組織の中の「法務部刑事専門ルーム」の弁護士として、大きな組織の力を活用していきます。
利益最優先の上司の佐田弁護士は、利益にならないと考えて刑事事件を煙たがりますが、深山は佐田弁護士の人脈や情報網などを上手に活用します。
徹底した再現や検証で「事実」を明らかにする展開は、エンターテイメントとしてのドラマを辛気臭くしないようにコミカルにしてはいるものの、うならずにはいられないです。
事実を追い求めるのは面倒でコストが掛かる
「所詮はドラマ」と思うかもしれませんが、実際のところ、私たちIT業界でも、同様の事があります。
例えば、Webの高速化で、画像のサイズを小さくすればいいとか、WebPを使えばいいとか、圧縮すればいいとか、HTTP/2やHTTP/3を使えばいいとか。
私たちが提供しているWebサイトのパフォーマンスチューニングですが、多くの技術者の方は、検証せずに、「こうすれば高速になる」という手法を採用します。
しかし、実際にプロファイリングして見ると、ボトルネックはそこにはありません。
現在のWebページで多いボトルネックは、JavaScriptの処理の時間だったり、サーバ側の処理の時間だったり、ネットワーク処理だったり様々です。
巷で言われている遅延の「真実」と、実際のお客様のWebサイトのボトルネックの「事実」は適合しないケースが多いです。
また、「推測するな、計測せよ」という名言を出して、計測の重要性を訴える方は多いです。
しかし、地方都市やキャリア毎の徹底した計測をされる方はあまりいません。
BGP、DNS、TCP/IP、SSL、HTTPSと、全てのプロトコルについて計測される方も殆どいません。
パフォーマンスチューニングで大事なのは、何がボトルネックになっているか、「事実」を把握することです。
ボトルネックは、大抵、いくつも存在しており、複雑に絡み合って、分かりにくくなっています。
それは、深山弁護士が扱う刑事事件のようです。
主要な地方都市や、キャリア別に計測しようとすると、年間で1000万円以上の費用が掛かります。
技術者の皆さんからすると、「そんな費用は会社が出してくれない」という事で、できるだけ安い、もしくは無料の計測をしようとされるのは理解できなくはないです。
しかし、それで遅延や障害などが発生しているという「事実」を見逃しているとしたら、ビジネス的に大きな損失です。
事業を営む上で知りたいのは、誰かが解釈した「真実」ではなく、ありのままの「事実」ではないでしょうか?
「真実」は人の数だけありますが、「事実」は常に1つです。
丹念に紐解いて「事実」を見つけ出すのはお金と時間と労力が掛かりますが、それをやらないから、「99.9-刑事専門弁護士」では深山弁護士以外は判断を誤っているのです。
もしも、それが面倒だというのであれば、それは仕事をしているのではなく、仕事をしているフリなのではないでしょうか?
「仕事やってるフリ」ばかりしてた人の話。
品質は利益に繋がる
「99.9-刑事専門弁護士」では、佐田弁護士が、刑事事件はお金にならないと、事あるごとに刑事事件を疎んじ、映画ではマネージングパートナーに就任したのを機に「法務部刑事専門ルーム」を潰そうとします。
しかし、斑目所長は、ドラマの中では、深山弁護士の刑事事件での実績をベースとして、顧問契約先を増やしていきます。
刑事事件の弁護という仕事単体では利益は出ないかもしれませんが、その活躍を弁護士事務所のブランディングへと繋げているのが、佐田弁護士を上回る斑目所長のやり手なところです。
Webパフォーマンスの計測・監視も、それ単体では、金額が大きく見えて、無理だと思われるかもしれません。
しかし、品質は、信用と価値とブランド力に直結します。
戦後の日本が世界市場に商品を輸出して経済復興を遂げたのも、品質改善に依るところが大きいです。
米国では、ノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツの情報経済学が大学で教えられ、情報が如何に経済取引に影響を及ぼすかを知っています。
そして、システムの開発のみならず、品質管理にも、年間予算の20~30%を投資し、ITの力で経済成長を遂げました。
日本は、情報化社会と言いつつも、ITの品質管理で遅れを取り、経済成長できずにきました。
私たちのお客様は、Webサイトの定常計測や高速化で、年30%増のペースで順調に業績を伸ばしていらっしゃる事からも、情報戦の重要性と、それを担うITの品質の大切さが分かります。
御社の情報戦を支えるWebサイトについて、札幌、新潟、東京、大阪、福岡の全国5都市での通信状況と表示速度の24時間365日計測・監視にご興味がある方は、SpeedDataのサイトをご覧下さい。